痔の日帰り手術ブログ

2012年1月17日 火曜日

「肛門鏡」と「デジタル肛門鏡」

「肛門鏡」ってご存知でしょうか?・・・決して鏡の一種ではありません。
「肛門鏡」とは、肛門内を観察する医療器具です。

肛門科を初診で受診すると、必ずといっていいほど「肛門鏡」を使って診察されます。
挿入した後に内筒を抜いて覗き込むと、肛門内を肉眼的に観察できます。
痔核(いぼ痔)、裂肛(きれ痔)などを簡単に見ることができます。

多くの患者さんが肛門科への足が遠のく理由の一つが、この「肛門鏡」にあります。
やはり肛門に異物を挿入されるのは、普通はイヤですよね。
私が肛門鏡を使って診察する時には、ゆっくりゆっくり挿入することを心がけています。
少しでも不快感を感じないように診察することは、プロの条件として非常に大きなものだと思います。

実は、この「肛門鏡」には大きな欠点があります。
それは、仮に病気(痔核;いぼ痔、裂肛;きれ痔など)があったとしても、患者さんは見られないことです・・・・・患者さんの立場では、「痔があります。治療には手術が必要です。」と医師から言われても、具体的な病気のイメージがつかめないのです。
そこで、近年は「デジタル肛門鏡」というものが発売されました。これは、普通の肛門鏡にビデオカメラを付けて、画面に映すようにした器具です。
この「デジタル肛門鏡」を用いると、13インチ程度のモニターに自分の肛門の中が映し出されることになります!!


えっ? 見たくないって?
そうかもしれませんね(笑)・・・自分の病気をご覧になりたい方だけで結構です。

私は個人的には、病状に興味がある患者さんに対して、具体的なイメージで(可視的に)説明したいと常々思っています。しかも、診察料金は「肛門鏡」と「デジタル肛門鏡」とで全く変わりありません。
だから、「デジタル肛門鏡」は最もよく使う器械の一つです。
ほとんどの医療機関にはありません・・・

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2012年1月17日 火曜日

肛門にできる"血まめ"血栓性外痔核

比較的若い方が「3日くらい前から肛門にできものができて痛い」と言う場合、大概はこの病気です。私が勤務するクリニックでは、外来を一日中やっていると、大体3人はこの病気の方を見かけます。お尻を広げただけで診断が可能です。

便秘や下痢や激しい運動の後に出来ることが多いのですが、よく見ると、「できもの」は青黒い色をしています。
これは、刺激によってできた痔核(静脈瘤)のところの血液が固まってしまって血管が膨れ上がってきたもので、「血栓性外痔核」と呼ばれます。

「血栓性外痔核」は痛みが強い「痔」の代表格です。
急激にズキズキとした鈍痛が生じて座る事も歩く事も出来ない場合もあるくらいです。
よく「痔は肛門の中に押し込まないと悪化する」と言われますが、この「血栓性外痔核」の場合は肛門の皮膚にできたものですから決して肛門内に戻りません。

治療としては、血栓のでき方や痛みの程度によっては、切開が必要です(ごく簡単な日帰り手術)。
あわせて坐薬と軟膏、消炎鎮痛薬や抗炎症薬等を内服すると、良好に治っていきます。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2012年1月17日 火曜日

裂肛痔瘻とは

「裂肛痔瘻」という病気を聞いたことがありますか?

簡潔に書くと、「裂肛(切れ痔)」部分から「痔瘻の管」ができた状態のことです。
裂肛(切れ痔)とは、肛門を体の外側から触れることができる部分から少し肛門内に入った部分にできる傷のことですが、裂肛(切れ痔)を繰り返すと、そこがくぼんだようになります(潰瘍化)。
度重なる裂肛(切れ痔)により、細菌が裂肛のくぼんだ部分(潰瘍)に感染して、その後、トンネルをつくるように肛門の表面の皮膚まで進んできた状態を「裂肛痔瘻」と呼ぶのです。


この「裂肛痔瘻」、専門家以外の医師が肛門の外から普通にボヤーッと診察していると、まず見逃されます。
・・・なにせ、わずかにくぼんでいるだけですから。

裂肛の手術を行えるのも肛門科専門医師に限られますが、さらにそこに潜む「裂肛痔瘻」を正確に見極めて最適な手術を施すのは、肛門科医の力量の証だと思います。
(裂肛痔瘻に限らず、痔瘻の存在をしっかり診察できるのは、肛門の専門家しかいません)

初診の時に、肛門を丁寧に観察する医師は良い肛門科医の可能性が高いです。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2012年1月17日 火曜日

「痔ろう(痔瘻)」の手術(特にセトン法:シートン法:Seton法について)

「痔」には大きく分けて3種類あります。
痔核(いぼ痔)、裂肛(きれ痔)、痔ろう(あな痔)です。

そのうち「痔ろう(痔瘻)」とは、まず肛門に粘液を出す肛門腺という管に感染を起こして膿が貯まり、肛門の周りの皮膚から膿が噴出した後に管だけが残った状態のことです。
痔ろうの症状としては、膿が貯まってしまった時に、肛門の痛み、重苦しさ、発熱、排膿などがあります。
肛門の痛みがみるみる激しくなっていき、受診した時にはかなりの量の膿が貯まっていることが多いです。
(もう、手で押さえただけで痛むくらいなので、座ることができない患者さんもたくさんいます!)

さて、「痔ろう(痔瘻)」になると、きっちり治すためには手術以外に方法がありません。

「痔ろう(痔瘻)」に対する手術法としては、開放手術とセトン法(=シートン法、Seton法)などがあります。
「セトン法」とは、ろう孔(膿が出るトンネル部分)に「ひも」(又は輪ゴム)を通すことによって徐々にろう孔を開放していくというマイルドな?手術で、日帰りでも可能です。

この手術法の特徴としては肛門周囲の皮膚の変形が少なく、再発も少ないことが挙げられます。
軽い麻酔で可能で、術後の日常生活に支障がありません。

・・・輪ゴムをトンネル部分に通すだけで治る「セトン法」。
痔瘻手術のスタンダードです。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2012年1月17日 火曜日

痔瘻(痔ろう=あな痔)の手術(括約筋温存手術について)

「痔瘻(痔ろう=あな痔)」とは、肛門に粘液を出す肛門腺という管に細菌が感染を起こして膿が貯まり、肛門の周りの皮膚から膿が噴出した後に管だけが残った状態のことです。

さて、痔瘻の手術の本質は、「肛門の周りの筋肉(括約筋)を貫いている痔瘻管(トンネル)をいかに処理するか」です。その手術法の一つに括約筋を切らずに痔瘻管のみを切除する「括約筋温存手術」があります。
この「括約筋温存手術」は、痔瘻管(トンネル)を「トンネルごと」くりぬく方法です。


医師「トンネルをくりぬくように切除したら、トンネルがなくなりますよね」
・・・・そのように説明されれば、うなづいてしまいそうです。
でもよく考えてみると、くりぬくようにトンネルを切除したら、より大きなトンネルが新たにできるはずです。
この大きなトンネルの周囲は(以前のトンネルの壁と異なり)健康な肉芽ですから、自然に肉が盛り上がって穴が塞がるように治癒していくのです。つまり、自然治癒に期待した手術法と言えます。
再発率は他の方法と比較するとやや高い方法なのですが、筋肉にキズがつかない手術法です。

少し専門的になりますが、この「括約筋温存手術」がよく行われる状況は以下の通りです。
・肛門の深部に出来た痔瘻
従来の括約筋を切開する方法だと、括約筋の切開幅が大きくなってしまいます。特に女性症例では筋肉は大切。
・肛門の前方向にできた痔瘻
従来通り括約筋を切開すると、肛門の変形が大きくなってしまいます。

「括約筋温存手術」は肛門科で行う手術では最も難しく、高度な技術と豊富な経験が必要です。
手術法の選択は「手術する先生に一任」のほうが良いでしょう。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

おしりの日帰り手術なら、ららぽーと横浜クリニックへ! TEL:045-929-5082