痔の日帰り手術ブログ

2012年1月17日 火曜日

痔の日帰り手術の実際

「痔の日帰り手術」を受ける時の実際の手順はどういう流れなのでしょうか。
実際に手術を受ける立場になれば、手術前の準備、体位、麻酔の方法、手術後の様子など、不安な点が多いのではないでしょうか。できるだけリラックスして手術を受けて頂きたいものです。
そこで、手術に関する大まかな流れを書くと(施設や疾患によっても多少は異なりますが、スタンダードなところでは)以下のようになります。

①手術前の準備
手術に関する詳しい説明(手術方法や合併症)を受けます。
着替えを済ませてから、浣腸を行って肛門や直腸付近をキレイにします。
移動式のベッドの上で点滴を受けながら、処置(手術)室へ。

②体位
閉脚ジャックナイフ位で行うことが多いです。
「閉脚ジャックナイフ位」というのは、「うつぶせで、下腹部とベッドとの間に枕を挟んだ体位」です。

③麻酔の方法
仙骨麻酔がほとんどです。「仙骨麻酔」というのは、尾てい骨から頭側に7cm程度の部分にある「仙骨裂孔」というくぼみから麻酔薬を注入する麻酔法です。肛門付近が麻酔されます。意識は普通と同じで、上半身は自由に動かせますし、話もできます。

そして手術・・・・手術中は肛門をなんとなく触られているような感覚がありますが、痛くはありません。
手術時間は病気にもよりますが、概ね10~30分です。

④手術後の様子
手術後2-3時間程度、ゆっくりと休みます。この時間で麻酔は十分に醒めます。
帰宅してからの通院間隔や手術した傷の管理方法、お薬の飲み方、万が一のトラブルが起きた場合の対処法についてガイダンスを受けて終了です。帰宅時は車や自転車の運転は可能ですが、できれば避けるようにします。


・・・・いかがでしょうか。
私はいつも思うのですが、日帰り手術の患者さんにとってのクライマックスは、「仙骨麻酔」の瞬間ではないかと思います。というのは、手術室で医師の手で行われる最初の手技であり、麻酔さえかかれば手術中は全く痛みがないからです。肛門のすぐ頭側の皮膚に細い針が入る瞬間のチクッとする痛み、そして麻酔薬を注入される時に感じる肛門付近の重い感覚・・・でも、それさえ済めばもう安心です。手術する部分への局所麻酔と比較して、手術中の痛みがありません。

常々私は日帰り手術の患者さんには、手術の大まかな流れを理解して頂くと同時に、
「手術は処置の延長のようなもの」とお話して、リラックスして頂くように心がけています。

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2012年1月17日 火曜日

切れ痔(裂肛)の手術の不思議

数年前、私がまだ一般病院に勤務していた頃は、切れ痔の患者さんが外来に来ても手術をすることは絶対にありませんでした。
「切れ痔は軟膏(ぬり薬)で治す」が、その病院の「常識」だったからです。
地方の都市を代表する総合病院や大学病院では、今現在も「切れ痔(裂肛)の手術」はほとんど行われていません。

その理由は、
①手術法自体が専門家領域であること 
②総合病院や大学病院では癌患者の手術が優先されること 
③軟膏による治療だけでも一定の効果が得られること
などです。


・・・ところが、胃腸肛門病の専門病院に勤務するとわかることなのですが、
「裂肛(切れ痔)こそが最も、手術した患者さんに喜ばれる」という現実があります。
手術では、狭くなっている肛門を拡張したり、肛門を狭くしている筋肉の緊張を取ったり、肛門の近くの皮膚を肛門内へ移動することで肛門のサイズに余裕を持たせたりします。このような手術は「肛門形成術」とも呼ばれています。
他の痔(いぼ痔;痔核、あな痔;痔瘻)も手術によって症状が劇的に改善するので、患者さんに喜んで頂けるのですが、裂肛の術後には「排便が楽に出るようになった」「手術前の排便の痛み、苦しみが嘘のよう」と、喜びの声が特に大きいのです。
(参照)裂肛(切れ痔)の日帰り手術


そのことを考えると、切れ痔(裂肛)については、
現在考えられている基準よりももっと軽症の患者さんに対しても手術を行っても良いのではないかと思います。
この「切れ痔(裂肛)」は、若い女性に多いことでも知られています。
手術はほとんど傷を残しません。

お悩みのあなた!
早めに受診して肛門形成手術を受けると、一気に楽になるかもしれません。

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2012年1月17日 火曜日

肛門の上から膿!腫れて痛む「毛巣洞」とは?

「毛巣洞」(もうそうどう)という病気、知っていますか?
毛巣洞とは、尾底骨の正中部分、割れ目の上側が圧迫されることによって、体毛が毛穴の中に入り込み、皮膚の内部で瘻孔(ろうこう、sinus)を形成し、炎症を起こす感染症です。
(参照)毛巣洞


毛巣洞に感染が起こると、肛門の背中側の上方の皮膚の表面に嚢腫(袋状の腫瘍)があり、そこに痛みがあり、腫れたり膿が出てきたりします。
特におしりの毛深い若年男性に好発します。
別名、毛巣洞炎、毛巣嚢(もうそうのう)、毛巣嚢胞(もうそうのうほう)、毛巣瘻(もうそうろう)、毛巣病とも呼ばれています。また、生まれた時から体毛の原基が皮膚に開がずにもぐりこんでいる場合は、皮膚の表面から体の内側に向かって管が伸びており、先天性皮膚洞とも呼ばれています。



・・・・「毛巣洞」という名前だけを聞くと怖い病気のような気がするのは私だけでしょうか?
研修医時代に初めてこの病気を実際に診るまでは、怖いものだと思っていました。
実際には、この病気は単純なもので、恐れるに足りません。
治療としては、完全に治すためには、穴から伸びる管やその内部の毛などを全て、切り取る手術が必要です。
手術といっても、単純な手術なので安心して受けられる手術です。
手術をした場合、1回でほとんどの方が治ります。

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2012年1月17日 火曜日

痔の古典的治療の驚愕と不思議!

先日、肛門疾患の古典的治療を勉強する機会がありました。
それはもう、江戸時代から続くような治療法も含めて勉強することになりましたが、その内容には驚きの一言でした。どんな点が「驚き」だったか、書きましょう。

①全ての痔に対して根元を結紮することで(腐らせて)治療している!

それをやると、術後の痛みがひどいと思います(だって体の一部が腐るのですよ)。
そこで現代の医療では、痔の場所を考慮して、腐らせても痛みが出ない場所のものに対してのみ結紮が行われます。昔の人は我慢強かったのですね・・・

②局所麻酔にキニーネという劇物を使用している!
この「キニーネ」に比較的長期の鎮痛作用があると解説されていました。
本来はマラリアの治療薬として知られている「キニーネ」にどこまで期待していいのでしょうか。
・・・使用した経験のない私にはわかりません。

③止血には「鉄ミョウバンガーゼ」を使う!
完全に民間療法です。止血作用は鉄ミョウバンにはありません。
・・・私事、民間療法といえば、恥ずかしながら、幼少時に酔い止めとして、おへそに梅干を貼り付けた経験があります。

④現在でも「古典的治療」を行っている医療機関がある!
しかも一回の治療費は云十万円・・・


いやはや・・・医療が進歩しているのを実感したと同時に、限られた材料で行う昔の治療もなかなかやるな、と感じた次第です。もしかすると、痔に限らず様々な病気について、古典的治療が日本のどこかでいまだに行われているのかもしれません。(しかも、そこそこの治療成績を上げていたりして・・・)

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2012年1月17日 火曜日

ヒトはどうして痔核(いぼ痔)になるのか

痔核は3種類ある痔のうちの一つです。
痔核とは直腸や肛門の血液の循環が悪くなり、静脈が膨らんで瘤状になった状態のことをいいます。
ヒトはどうして痔核(いぼ痔)になってしまうのでしょうか・・・原因は様々です。

(参照)痔核(いぼ痔)について

もともと、直腸と肛門はおなかの臓器の血管と体の表面の血管が交差する場所であり、多数の静脈が静脈叢という網の目を作っています。
①慢性的な便秘のため腹圧をかけて排便することにより、肛門付近の血液が心臓に戻る経路が塞がれてしまい、その結果として肛門部の静脈が膨れてしまうと考えられています。これを何度も、何年も繰り返すことにより痔核が形成されていきます。
②特に女性の場合は妊娠によって骨盤内の圧力が高まり、肛門付近に血液が集まってしまいます。
この状況が数ヶ月にわかって持続することで、非常に痔になりやすいのです。妊娠後の女性の半数以上が痔になっているとも言われています。
③人類が直立二足歩行を始めたことによって足や肛門などの身体の低い部分に血液が留まりやすくなったことも痔の原因のひとつと考えられています。
④人間社会の変化に伴い長時間にわたり、同じ姿勢を続けることが多くなったことも痔核の発生と関係しています。
デスクワーク中心のサラリーマンや、タクシーの運転手、重い物を扱う職業の方は肛門の静脈のうっ血をきたしやすく要注意です。
⑤食事としてはアルコールや辛いもの、コーヒーなど、いわゆる刺激物の摂取や、身体の冷えなども痔核と関連があることがわかっています。


・・・・このように多くの理由で、簡単に痔核になってしまうのです。
なお、症状としては、「肛門の痛み」「肛門からの出血」「肛門からの脱出」が代表的です。
同じ生活をしていても全く痔とは無縁の方もいますので、上に書いた原因が全てではありません。
はっきり言えることは、痔になることの原因は不可抗力であることが多いということでしょうか。


今日も多くの痔を診察しました。
症状があるのに我慢を続けて受診が遅れたために、手術が必要な段階の方がほとんどでした。
少しでも症状があれば、早めに受診する方が良いでしょう。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

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