痔の日帰り手術ブログ

2013年7月16日 火曜日

血液で大腸癌を発見できるか

大腸癌の発見に関する最近のニュースです。

(以下、ニュース記事)
三重大学の楠正人教授らの研究グループは4日までに、血液検査で大腸がんかどうかを92%の高確率で判定する手法を確立したと発表した。がん細胞が分泌する微細なマイクロRNA(リボ核酸)に着目した。がんの前段階であるポリープも高い確率で判定でき、発病前に治療することも可能になるという。米医療機関との共同研究。論文は6月に発行された米国立がん研究所の機関誌に掲載された。楠教授らは、日本人282人の血清を分析し、大腸がん患者は、大腸がんで多く発生する「miR―21」と呼ばれるマイクロRNAが健常者の約5倍に増えることを発見した。ポリープ患者でも約2倍になり、82%の確率で判定できる。0.5ミリリットルの血液があれば約3時間で判定可能という。
大腸がんでは、便に混じった血液を調べる「便潜血検査」や腫瘍マーカーによる検査が一般的だが、発見できる確率や精度が低かった。楠教授は新たな検査方法について「臨床試験が始まれば2年程度で実用化のメドが立つ」としている。
(以上、ニュース記事終了)

現在よく行われている「便潜血検査」は大腸癌があれば、その60%を見つけ出せる検査です。便潜血検査を2回行うことで、大腸がんの80%以上をキャッチできることになります。逆に言えば、自分が便潜血検査を行って2回とも陰性であっても、大腸がんの確率は1/5になったにすぎません。だから、結局は大腸内視鏡検査が便潜血の結果に関わらず、完全な大腸癌予防の為には、必要なのです。

対して、今回のニュースで書かれてある「血液検査(miR―21)」は、「大腸癌があれば、その92%を見つけ出せる」というのだから素晴らしい進歩です。この方法を2回行うと、大腸がんの99.5%以上をキャッチできることになります。これならば、もう「血液検査で大丈夫であれば、大腸内視鏡検査は必要ない」ということになるかと世間の誤解を招くかも知れません。

ここで問題は以下の点です。

・よくあることですが、こういうニュースの類は、数字が実際よりも良く書かれてあることが多い;92%は実効?
・偽陽性を避けるためにカットオフ値を下げたら、キャッチ率が結構下がってしまう;92%→??%
・「臨床試験が始まれば2年程度で実用化のメドが立つ」と書かれているが、いつのまにか立ち消えになることが多い(=上記2項目他がクリアできない);人々の記憶からも消えます
・コストは?  

今後の動向が注目です。

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2013年7月16日 火曜日

大腸癌は予防可能か!?

当院では、無痛の大腸内視鏡検査を行っており、大腸癌を心配して、便潜血反応や大腸内視鏡検査を受けられる人が多く来院されます。そこで、大腸癌の発生について、少しだけ説明させていただきます。

大腸癌のほとんどは、大腸ポリープからできます。大腸ポリープの中でも、顕微鏡で見たときに、「腺腫(adenoma)」という種類のものが最も頻度が高いのですが、この大腸の腺腫は、大きくなると、大腸癌になる頻度が高いのです。だいたいの数値で言うと、2cmを超える腺腫の約35%に癌細胞が含まれます。そして3cmを超える程にもなると、約50%が既に癌化しています。

まだポリープの段階では大腸内視鏡で切除可能なものも多くありますので、いわゆる開腹手術や腹腔鏡手術になるとは限りません。というのは、ポリープの段階では、癌といってもほとんどが「粘膜内癌」という非常に早期の癌です。 昔のアメリカンファミリーなどのがん保険では、癌として認められていなかったくらい早期の早期であり、寿命を左右することはないので、ご安心下さい(100%治ります!)。

ただし、内視鏡で切除した標本(ポリープ)を調べて、粘膜内癌でなかった場合は、手術的な方法を考えないといけなくなります。
(参照)内視鏡でここまで治療できる

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2013年7月 2日 火曜日

便潜血反応は正確か?

便潜血反応(便に血がついているか調べるスクリーニング検査)は、安価で簡便に多くの人にできる検査です。しかし、その分、正確さに欠けます。進行した大腸癌があっても、「陽性」とでるのは、約6割といわれています。つまり進行癌でも4割はキャッチできないのです。

一 方で、「便潜血陽性」であっても、内視鏡検査をしてみると、異常のない人もたくさんいます。そこで、2回法といって、2日間にわたって便を調べる方法が一 般的となっています。大腸癌があっても「陰性」となって引っかからないのが約40%ですので、これが2回続く確率は約16% (0.4x0.4=0.16)。つまり、2回やれば、約8割で進行大腸癌を、見逃さずにキャッチできるというわけです。

もし便潜血反応検査で、2回中1回でも「陽性」となると、大腸内視鏡検査が必要となります(大腸癌からの出血は、出たり止まったりするので、便潜血を再度行うことは無意味です)。

しかし、大腸内視鏡検査を行ってみると、「便潜血2回中、1回だけ陽性」の方は、癌が無いことの方が圧倒的に多い印象です。つまり、「便潜血2回中、1回だけ陽性」の場合の大腸内視鏡検査は、「安心の確認のための検査」だと私は普段患者さんにお伝えしております。

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