おしりの日帰り手術.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
痔の日帰り手術なら横浜市新横浜のららぽーと横浜クリニックへ
℡:045-929-5082

恐ろしい病気、痔ろう癌!!

2018/06/01

皆さんいかがお過ごしでしょうか、横浜市肛門科のららぽーと横浜クリニックです。
さて、当ブログでは様々な種類の痔について何度かご紹介しているのですが、目を通していただいていますか?

お尻に関係する病気の筆頭である痔には「痔核(じかく)」、「痔瘻(じろう)」、「裂肛(れっこう)」という主に3種類が存在します。今回はその中の「痔瘻」について再度ご紹介したいと思います。
実はこれらの痔の中で、唯一「癌(がん)」と関わりがあるのが痔瘻なんです。

そう、今回は「痔瘻癌」を題材にしてご紹介したいと思います。
まずは、痔瘻について簡単に振り返りましょう。

お尻が痛い男性

痔瘻ってどんな病気?

痔瘻は俗に「穴痔(あなじ)」とも呼ばれる病気で、痔の中でも最も厄介だと言われています。
明確な原因についてははっきりしないことが多いのですが、最初に下痢などをきっかけにして肛門のくぼみに細菌が入り込んで炎症を起こし、肛門近くが化膿して「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」という状態になります。
そして、その膿が出る(排膿)ことによって瘻管(ろうかん)と呼ばれる膿の通り道が生じ、痔瘻となるのです。

膿が溜まった状態は非常に痛いもので、倦怠感や発熱などが起こることもあります。溜まってしまった膿は自然に破れて排出されることもありますが、そうでない場合には切開して膿を出す処置を行うことになります(切開排膿処置)。
排膿処置によって、一旦は膿が無くなり楽になるのですが、膿の出る管は残ったままなので放置すれば再び膿が溜まり同じ苦痛を繰り返すことになります。一度できてしまった瘻管は自然に閉鎖することはまずありませんので、完治のためには絶対に手術が必要です。

※痔瘻については過去ブログでも紹介していますのでよろしければご覧ください。

では、ここからが本題です。痔瘻癌とは一体どんなものなのかみていきましょう。

痔瘻癌って?

悪そうな菌のイラスト

手術をせずに痔瘻を長期間放置すると、稀ですが癌が発生することが知られています。実際には痔瘻が癌化したのか、肛門腺から発生した特殊な肛門癌が最初にあり、それが痔瘻になってしまったのか判別が難しいのですが、慢性炎症の繰り返しの中から突然変異的に組織の悪性化が始まると考えられています。
厄介なのは、痔瘻癌は早期発見ができない癌だということです。早期には普通の痔瘻と見分けがつかないのです。
では、痔瘻癌の診断はどうやって行うのでしょうか。

診断方法

痔瘻癌を疑うには、いくつかの条件があります。

10年以上痔瘻が続いており、何度も再発を繰り返す

ゼリー状の分泌物や出血が認められる

痛みや「肛門が狭くなる」などの排便障害が起こっている

このような症状がある場合に痔瘻癌を疑います。

痔瘻診断のための参考図

痔瘻癌が疑われた際には、硬結部・2次口・瘻管・直腸肛門狭窄部などから局所麻酔または腰椎麻酔を使用して組織検査や細胞診を行い、診断を確定します。
ただし、一回で癌細胞が見つかることはごく稀です。そのため、確定診断がつかず生検目的の手術を繰り返さざるを得ないケースもあるという診断がとても難しい病気なのです。
近年は解析能力の向上によって細かな変化も見ることができるようになりました。痔瘻の正確な位置やパターンが触診でもわからない場合は、骨盤CT検査やMRIなどの画像診断による補助診断が非常に有効だと認められてきています。

診断が難しい病気だということをお分かりいただけたでしょうか?
さて、実際に痔瘻癌と診断されたらどのような治療方法があるのでしょう。

治療方法

痔瘻癌になってしまったら治療はとても大変です。
局所的な切除で済むということはなく、肛門部を大きく切除する「ストーマ手術」が適用されます。これはつまり「人工肛門」を取り付ける手術です。
手術の方法としては直腸癌の手術と同じで、「直腸切断術」という大手術が必要になります。
肛門と直腸を大きく取り除きますので、その後は人工肛門と一生付き合うことになってしまうのです……。

最後に

痔瘻癌は早期発見がとても難しい、恐ろしい病気です。手術も肛門と直腸を取り除く大掛かりなものですから、人工肛門での生活が避けられません。
既に医師から痔瘻と診断されたが手術をまだ受けていないなんていう方は勿論のこと、痔瘻を疑う症状である「お尻の方から膿が出る」、「お尻の周りが腫れる」、「肛門付近が痛む」など、心当たりのある方は早めに肛門科を受診してください。専門医による正しい診断と治療を受けることが非常に大切です。
ららぽーと横浜クリニックの肛門科でも診察可能ですので、気になる症状がある方はお気軽にご相談くださいね。