おしりの日帰り手術.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
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痔瘻と複雑痔瘻

2018/08/01

皆さんこんにちは。横浜市の肛門科、ららぽーと横浜クリニックです。
いきなりですが、「痔瘻(じろう)」という言葉をみなさんは聞いたことがありますか?お尻の病気なんです。
あまり耳にしない言葉ですよね。そもそも読み方も難しいので読めない方も多いかもしれません。今回はそんな痔瘻、そして「複雑化した痔瘻」について詳しく説明していきたいと思います。

 

痔瘻とは

肛門に出来る代表的な病気の一つです。「穴痔」などとも表現されます。
直腸にある「肛門陰窩(こうもんいんか)」という小さいくぼみに細菌が入り膿瘍を形成することを「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」と言います。
この膿瘍が「膿の通る管を作り、肛門の外の皮膚と交通する」ことを「痔瘻」と言います。

とても簡単に言えば「お尻に(肛門とは別の)穴が空いちゃう病気」ですね。
傾向として、下痢が多い人はその小さなくぼみに細菌が入りやすいともされています。また比較的男性に多く見られます。
管を形成し痔瘻となった場合、子供であれば身体の成長によって自然に治る可能性もわずかにありますが、成人では自然治癒することはまずありません。治療には手術をする必要があります。

 

痔瘻の症状

痔瘻の症状としては以下のようなものが挙げられます。

・肛門周囲に痛みがある
・肛門周囲が腫れる
・肛門周囲膿瘍が自壊し、膿が出る
・発熱する
・膿の溜まった部分がアザのように変色する

とにかく「痛い!」ということですね。

 

治療に向けて

痔瘻と診断された場合、手順としては

①自然に膿が出ていない場合、切開して排膿(はいのう)する
②炎症が落ち着くのを待つ
③痔瘻の根治手術
※炎症が落ち着くのを待っている間に再度膿が溜まってしまった場合には再度の排膿をし、また炎症が落ち着くのを待ちます。

溜まった膿を出すことで(②までの状態)、上にあげた症状はかなり落ち着きます。
痔瘻の患者さんとしては「症状が落ち着いたから治療が終了した。もう治った!」などと思いがちですが、そこが大きな落とし穴です

膿を外に出すと、辛い症状はいったん落ち着きますが、一度できた痔瘻の管(瘻管と呼ばれる膿の通り道)は手術をしないと残ります。これは残念ながら根治手術をしないと治癒しません。
症状がないからと言って放置していると、やがてまた膿が溜まり、再び痛みなどの症状が現れます。その過程で膿の通り道が枝分かれし、痔瘻がより深く、複雑化する可能性もあります。
一番怖いのは長年放置することで痔瘻が「癌化(がんか)する」ことがあるということです

「癌になる」と聞くと、放置することがいかに恐ろしいことに繋がるのか、良く分かりますよね。一般に「痔は命を奪うような病気ではない」と良く言われますが、この「痔瘻癌」だけは話が別です。

ここからは今回の記事の題名にもなっている「痔瘻と複雑痔瘻の違い」について話していきます。

 

痔瘻の分類

痔瘻には重症度によって1から4までの段階で分類されています。
※Ⅰ型が一番軽く、Ⅳ型が一番重い状態。

痔瘻の状態は十人十色ですが、その状態によって手術の方法も変わってきます

 

痔瘻の手術方法

Ⅰ型の痔瘻は浅いものであり、切開開放術で瘻管を切り開いて、すべて切開して終了となります。

「複雑痔瘻」とは、肛門を締める筋肉を貫く深い痔瘻のことを言います。上の表ではⅡ型以降が複雑痔瘻に当てはまります。筋肉層を切り開くと術後肛門の締まりが緩くなり、便失禁など後遺症の可能性があります。
そのため最近では括約筋温存術やシートン法(当院では「セトン法」と呼んでいます)といった肛門を締める筋肉を温存できる術式が主流となっています。

当院は複雑痔瘻でも日帰り手術を行っていますが、膿の管が多数枝分かれしていたり、他臓器への交通がある場合には患者さんの肉体的な負担から、日帰りでの手術が難しくなり、入院可能な施設での手術が必要となってしまいます。

お尻の異変に気が付いたらすぐに病院に行き、適切な治療を受けましょう。手術後の痛みや完治までの期間など、体への負担も軽くなりますよ。

 

最後に

単純痔瘻と複雑痔瘻の違いについてご理解いただけたでしょうか?
痔瘻はとにかく「放置しないこと!」これが第一です
そして、早めの受診。これが二番目でしょうか。
悪化させてしまうことで、日帰りでは手術が出来なくなってしまう可能性があるのです。

当院にも痔瘻の患者さんが数多く来られますが、ご自身では痔瘻だと分からずに肛門科を受診される方も多くいらっしゃいます。
お尻について悩みがある方は、不安や疑問のご相談に乗りますよ。
「お尻から膿が出て、もしかして痔瘻かも!」と思い当たる症状がありましたら、一度当院の肛門科を受診してみてはいかがでしょうか。